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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第9章 【烏瓜~からすうり~】 《其の参》
ここはいつも香華が手向けられ、線香の香りに満ちている。毎朝、藩主孝俊もここの仏間に来て、正室である美空と共に先祖の位牌に手を合わせることが毎朝の慣例となっている。これは江戸城大奥での毎朝の行事に準じたもので、〝御仏間拝礼〟と呼ばれる将軍及び御台所が大奥の御仏間で祖先の霊に黙祷を捧げるものである。この場合は、将軍夫妻だけではなく、御年寄以下、お目見え以上の奥女中一同が皆勢揃いして歴代将軍の位牌に拝礼する。