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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第9章 【烏瓜~からすうり~】 《其の参》
磨き抜かれた廊下を重い脚取りで進む。仏間が近付くにつれ、孝俊の心はますます沈んだ。幼い孝俊をいじめ抜いた義母である。
―賤しい湯殿番の子。
子どもらしい他愛のない悪戯をする度、そう言って睨み、頬をぶたれたことは一度や二度ではなかった。時には父孝信には内緒で、〝お仕置き〟と称して食事抜きにされたこともあるのだ。宥松院に拘わる想い出は何一つとして心躍る愉しいものではなく、むしろ哀しいものばかりだった。