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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第9章 【烏瓜~からすうり~】 《其の参》
ある日、お八ツの時間に柏餅が出た。高坏に盛られたそれが兄と孝俊の前に並べられるやいなや、孝俊は喜び勇んで手を伸ばした。
傍らで見ていた宥松院は、その様を見て激怒した。
―何とお行儀の悪い。そのような辛抱のできぬことでは、尾張徳川家の名に傷が付きます。せっかちなのにも程がある。まるで、下々の子のようではありませぬか。流石は下賤な女の腹から生まれた子だけはありますね。
そう言って、手をピシャリと叩かれた。