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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第9章 【烏瓜~からすうり~】 《其の参》
「我が尾張家には目下、殿の御子としては徳千代君がおわすのみ。世継が一人だけでは心許ない想いが致すというもの。それに、この際、はきと私の了見を申し上げますが、身分賤しき町人の女の生んだ子なぞにこの尾張大納言家を継がせとうはございませぬ。そこで、できれば、今一人、由緒正しき家柄の娘を妻に迎え、若君を生んで頂きたいと、新たな世継の若君のご誕生を心より望んでおりまする」
「―」
しばらく、孝俊から声はなかった。