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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第10章 【烏瓜~からすうり~】《其の四》
「そんなのは所詮、あの男の口先だけの方便だろう。家を捨てるだなぞとたいそうなことを申しながら、とどのところ、帰り場所を確保しておきたいと考えていたのだろう。あやつの考えそうな、甘ったれた小狡いやり方だ」
 駄目だ、長年の憎しみに凝り固まった俊昭の心は容易には溶けそうにない。
「お願いにございます。どうか、今一度、孝俊さまとお話してみて下さいませ。孝俊さまは、殿は、俊昭さまと仲直りしたいと思し召されておいでなのです。そのお心をお汲み取り下さいませ」
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