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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第10章 【烏瓜~からすうり~】《其の四》
「―」
それに対して、俊昭からの応えはなかった。が、先刻までのような皮肉げな笑みは消えていた。
「俺が交わした約束というのは、父上とだけのものではない。俺は兄上ともまた必ず戻ってくると約束を交わしたのだ。兄上は一部の特権階級の者たちのための国ではなく、民のための国を作り、民のための政を行えと俺に仰せであった。俺は兄上の悲願を果たすためにも自分が帰って家督を継ぐべきだと信じて疑わなかった。志半ばにして逝った兄上との約束を違えることなど、一度として考えたことはなかったよ」
それに対して、俊昭からの応えはなかった。が、先刻までのような皮肉げな笑みは消えていた。
「俺が交わした約束というのは、父上とだけのものではない。俺は兄上ともまた必ず戻ってくると約束を交わしたのだ。兄上は一部の特権階級の者たちのための国ではなく、民のための国を作り、民のための政を行えと俺に仰せであった。俺は兄上の悲願を果たすためにも自分が帰って家督を継ぐべきだと信じて疑わなかった。志半ばにして逝った兄上との約束を違えることなど、一度として考えたことはなかったよ」