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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第10章 【烏瓜~からすうり~】《其の四》
小首を傾げる孝俊に、美空は悪戯っぽい微笑を浮かべた。
「殿の御子を授かりましてございます」
昨日、尾張藩の御殿医を務める前田春栄(しゆんえい)(〝はるひで〟とも読む)が急きょ、召し出され、ご簾中美空の診察に当たった。その結果、美空の二度目の懐妊が明らかになったのである。むろん、正式な発表はいま少し刻を待たねばならないが、懐妊は間違いないとの診立てで、既に胎児は四ヶ月に入っているとのことであった。