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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
《其の壱》
美空は良人の広い背中を見つめ、小さな吐息を一つ零す。良人孝俊はこの肩にどれだけ重い物を背負っているのだろう。その重さ、責任感はたとえ常に彼の傍にいる美空にだとて計り知れぬものがあるはずだ。一つの藩の、尾張という国のゆく方が孝俊のこの背中にかかっている。孝俊が美空に政の話をすることは滅多とないけれど、美空は日々、良人が抱えるあまたの問題の大変さを思う度、自分の方が胸苦しいような想いに囚われるのだった。
美空は良人の広い背中を見つめ、小さな吐息を一つ零す。良人孝俊はこの肩にどれだけ重い物を背負っているのだろう。その重さ、責任感はたとえ常に彼の傍にいる美空にだとて計り知れぬものがあるはずだ。一つの藩の、尾張という国のゆく方が孝俊のこの背中にかかっている。孝俊が美空に政の話をすることは滅多とないけれど、美空は日々、良人が抱えるあまたの問題の大変さを思う度、自分の方が胸苦しいような想いに囚われるのだった。