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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
 果たして、孝俊自身がそのことに気付いているのかどうかは判らないが、最近の孝俊を見ていると、漠然とした不安を感じることが再々ある。妻であればこそ、良人がその立場ゆえにのっぴきならぬ状況にあり、その心が追いつめられているのではないか、そんな予感めいたものを察知していたのだ。
「殿」
 美空がもう一度呼ぶと、漸く孝俊がゆるゆると振り向いた。
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