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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
これは、美空が江戸の裏店で生まれたところから始まり、孝俊に見初められ、ついには尾張藩主のご簾中に迎えられるまでを双六にしたもので、〝おんな一代記出世双六〟とも呼ばれているという。智島などは誇らしげに話していたものだが、当の美空にとっては我が身のことをあれこれと取り沙汰されるのも煩わしかった。
誰もが美空をこの世の栄華を極めた夢物語の主人公のように言う。しかし、現実として、美空は己れの置かれた境遇が世間で言うように輝かしいものだとは少しも思えなかった。
誰もが美空をこの世の栄華を極めた夢物語の主人公のように言う。しかし、現実として、美空は己れの置かれた境遇が世間で言うように輝かしいものだとは少しも思えなかった。