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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
 が、何でもないと言う言葉とは裏腹に、孝俊の端整な横顔はこれ以上ないというほどの濃い翳りに覆われていた。そのまなざしは虚ろで、あたかも心ここにあらずといった感じだ。
 孝俊がこんな翳りのある表情を見せるようになったのは、一体いつの頃からであったのだろうか。そんなことを軽い現実逃避で考えていた美空の意識は、孝俊の不気味な笑い声で再び現実に返ってくる。
 気が付けば、孝俊が低い声で笑っている。
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