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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
それでなくとも、町家の出である美空をいきなり連れてきて、正室にした孝俊を悪く言う者は重臣たちの中にもいる。美空は尾張藩邸に入ってから後、勉学に努めた。ただひたすら孝俊のために、藩主の正室として、尾張藩ご簾中として誰からも後ろ指をさされることなきように様々な教養を身につけたのである。孝俊から推挙された学問の師について懸命に学んだお陰で、今では万葉集ばかりか〝古今集〟、〝源氏物語〟も自在に読みこなせた。