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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
美空は、孝俊がいまだに自分が尾張藩のご簾中になり切れてはいない―、孝俊がそう暗に言おうとしているのだと、咄嗟に思ったのだが、孝俊は曖昧な笑みを刻み、首を振る。
「いや、俺は何もそなたを責めているわけではない。実際のところ、そなたはよくやってくれた。瀬川どのの指導の賜(たまもの)でもあるが、何より、そち自身が懸命に学び勤しんだゆえであろう。安心いたせ、今や美空は押しも押されぬこの尾張藩ご簾中だ。まるで、真に近衛家の姫として生まれ育ったかのような貴婦人ぶりも板についておるぞ?」
「いや、俺は何もそなたを責めているわけではない。実際のところ、そなたはよくやってくれた。瀬川どのの指導の賜(たまもの)でもあるが、何より、そち自身が懸命に学び勤しんだゆえであろう。安心いたせ、今や美空は押しも押されぬこの尾張藩ご簾中だ。まるで、真に近衛家の姫として生まれ育ったかのような貴婦人ぶりも板についておるぞ?」