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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
この三年間、常に美空の背後に影のように寄り添い、まめやかに仕えてきた。あるときは厳しく、あるときは優しく、心身両面において姉のように美空を支え続けてきた唯一無二の存在であった。智島は若い砌に一度、尾張藩の重臣に嫁いだが、半年で離別、出戻ってきてから御殿奉公に上がり、その才知と機転、行動力でめきめきと頭角を表してきた。なかなかの美貌だが、性格は竹をすっぱりと切ったように潔く、負けず嫌いで豪胆と、いささか女性にしておくのは惜しいほどだ。