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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
そのため、将軍跡目をめぐって、水面下で熾烈な権力闘争が繰り広げられていた。むろん、御三家筆頭の立場にある尾張徳川家の当主たる孝俊がその跡目候補の一人だという認識は美空も持っていたけれど―、それはあくまでも認識程度のものにすぎなかった。
現将軍家友公が突如として倒れたのは、美空と孝俊が二度目の祝言、つまり婚儀を尾張藩邸で盛大に挙げたそのひと月後であった。そのため、婚儀を済ませて三月(みつき)後には参勤交代で国許に帰る予定であった孝俊は急きょ、予定を変更し、江戸にとどまることになった。
現将軍家友公が突如として倒れたのは、美空と孝俊が二度目の祝言、つまり婚儀を尾張藩邸で盛大に挙げたそのひと月後であった。そのため、婚儀を済ませて三月(みつき)後には参勤交代で国許に帰る予定であった孝俊は急きょ、予定を変更し、江戸にとどまることになった。