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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
「お血筋の繋がりの話は、将軍お跡目にはこの際、何の拘わりもござりませぬ」
 美空が平坦な声で告げると、孝俊は駄々をこねる子どものように首を振った。
「そのようなことはない! 血筋だけで申せば、俺などより水戸家の友孝どのの方がよほど今の公方さまに近いのだ。何しろ、友孝どのの父君、先の水戸藩主の母御は公方さまの叔母君に当たられるのだからな。紀州家には三代さま(三代将軍家里)の六男高影どのが養子として入っている。
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