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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第13章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の弐》
 結局、美空は折角の求婚を丁重に辞退した。当時、美空は十五歳、誠志郎は父と三つ違いの三十一になっていた。が、美空が誠志郎に色よい返事をしなかったのは、何も年齢差でもなく、ましてや誠志郎が嫌いだからというわけではなかった。否、誠志郎に対して、好きとか嫌いとかの感情など、およそ感じたこともなかったし、正直、異性として意識したことすらなかった。それが、求婚を断った理由だった。
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