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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第13章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の弐》
それからというもの、誠志郎はあるときは太吉と二人で、時には一人でこの村に脚を運んだ。誠志郎の話によれば、美空の存在を誰にも話してはいないという。店を出る際も行く先は告げず、商用で出かけるとだけ言って出てくるため、番頭を初め奉公人たちは、誠志郎に囲う女―つまり妾ができたのではないかと勘繰っているそうだ。―と、これは、太吉が内緒で教えてくれた話である。
誠志郎は三十八になった今でも、独身であった。