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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第13章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の弐》
 ほんの束の間のことであった。
 物言いたげな男の視線を受け止めかね、美空は顔をうつむけたまま心からの礼を述べる。
「どうか道中お気を付けて」
 深々と頭を下げる美空に、軽く片手を上げ、誠志郎は雪を踏みしめながら去っていった。
 美空は誠志郎の姿が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。
 降りしきる雪が直に男の後ろ姿を隠す。
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