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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第13章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の弐》
自分めがけて凄まじい勢いで落下する雪を見上げながら、誠志郎が最後にその瞼に思い浮かべたものは、花のような女の笑顔だった。
まだ、やり残したことがあるような気がする。薄れゆく意識の中で、ちらりとそんなことを考えたが、女の笑顔に見惚れているうちに、何もかもがどうでもよくなっていた。
と、唐突に一つの想いがよぎる。
―そうだ、私はまだ言い残したことがあったのだ。
今度逢ったら、伝えようと思ったのに。