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せめて夢の中だけでも
第29章 宣戦布告
手の力が緩まり彼は顔を上げた。
私が秋雨の頬を濡らす彼の涙を
拭おうとすると、その手を掴み
優しくキスをした。
そして…その手をグッと引っ張り
私を胸の中にスッポリとおさめてしまう。
腕に力が入り…
これが別れるときとは…到底思えなかった。
秋雨は少し体を離すと
私の頬にキスをし…
次に唇に…キスを落とした。
最後にまた私を抱きしめると…
「…愛してる…」
そう呟いて…彼は私から完全に離れた。
その後ろ姿を私はただただ見つめていた。
パタンっと完全に扉が閉まると…
私の足は…
力が入らなくなり、その場にしゃがみ込んだ。