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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第4章 亀裂

本当に情けない...
当日にいきなり誘っても愛華にも都合や門限があるのは当然だ。そんな簡単な事すら配慮できないくらい...俺は思い詰めていたのだろう。
映画に誘うだけこうも思考が回らなくなり、たかだか一度断られたくらいで意気消沈し、いつまで座り込んでいるんだ。
別に断られてもまた誘ってと言って貰えたじゃないか...本当に嫌ならそんな事言わないはずだ。
しかし...愛華は優しいから言えなかったのかも...

ネガティブな思考を振り払うように立ち上がり、帰路につく。
このまま座っていてもマイナス思考しか浮かばなくなってしまうだろう。
予定が無くなってしまったら、やる事がある。
今日は家に誰もいない...休みの麻耶は勿論、麗奈も木曜日の今日はほとんど帰って来ないはずだ。
そうだ...どうせなら休日に誘えばいいじゃないか...と今になって後悔したが、考えるだけ無駄だ。

帰宅した後、自室に荷物を置いた俺は一目散に和雄の寝室に向かう。
家に誰もいない数少ないチャンス...最早麗奈の部屋になっているここになら...母の写真が隠してあるかもしれないのだ。

不快な香水の匂いが充満する部屋...化粧机の引き出し...ベッド...今まで何度も探した場所を今日も調べ、麗奈の服で埋まってしまった大きなクローゼットを物色する。
生理的な嫌悪感に耐えながら隅々まで調べていた頃...廊下から足音が聞こえた...
まさか麗奈が帰って来たのだろうか...俺は反射的にクローゼットを閉め、直後に寝室の扉が開いた。
そんな...どうして...隙間から部屋の中を確認すると...部屋に入って来たのは...
...父である和雄と...愛華だった...
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