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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第5章 一時の温もり

「こんな俺って...?」
「情けなくて...みっともなくて...何もできなくて...愛華に...何もしてあげられない...そんな...価値の無い...俺だよ!!!」

自分への怒りに、右拳をベンチに叩き付ける。
いっそ拳が砕けてくれてもよかったのに、非力な俺がこんな事をしても、拳を少し擦りむいただけだった。
最低だ...自分の弱さが原因なのに、愛華の前で八つ当たりをする姿を見せてしまっている。

「駄目だよっ!!優真君」

愛華は俺の右手を掴み両手で包み込むとハンカチで傷口を抑える。
そして涙の滲んだ瞳で俺を真っ直ぐに見詰めた。

「違う...違うよ...優真君は情けなくも...みっともなくも無いよ。何もしてあげられないなんて言わないで?私は優真君に気にかけて貰えるだけで嬉しいんだよ?」

俺は愛華に何もできなかったんだ...

「優真君は家の事とか...学校の事とか...色々大変なのに....それでも私の事を考えてくれる優しい人だよ」

違う...本当に辛いのも...本当に優しいのも...愛華だ....

「私も優真君のお母さんと同じ気持ち...優真君にはいつまでも優しい人でいて欲しいの」

嫌だ...こんな自分を...好きになれない...
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