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恋のリサーチ
第4章 はじめて・・
こじんまりとしたソファに腰を沈め、
店内を天井から床から先客まで、
じっくりと眺めている。
「へぇ・・今までオレが見たことない世界だ。
でも・・あんがいと落ち着くな」
肘掛けを指ではじきながら、
納得の表情を見せてくれた。
「よかった・・ね、来てみるとその良さがわかるでしょう?」
「まあな。うん・・これで話の幅が広がるぜ。
サンキュー紺ちゃん。
さ、なんでも好きなもん注文しろよ。
今日はオレにまかせろ」
また上から目線・・でもだんだんとそれが、
心地いいものになってきた・・
「じゃあ遠慮なく・・私はこの、
フレンチトーストにします。それとコーヒー。
聖夜さんは?甘いものって、嫌いですか?」
「ほらまた敬語になってる!・・う~ん・・
甘いものはあんまり・・得意じゃねーな。
やっぱ酒のほうがいいよ。
それにこの面でケーキもないもんだろ」
「そんなことないで・・そんなことないよ、
よかったら私のすこしわけてあげる」
敬語を言い直した私を笑ったところで
店員さんが注文を取りに来た。
フレンチトーストっての1つとコーヒー2つね、と
聖夜が言うと、
店員さんはクスッと笑ってからテーブルから離れた。
再び聖夜が店内を見回す。
それからつぶやくように話し出した。
「紺ちゃんがいろいろ教えてくれたこと、かなり役立ってるよ。
OL客達も話が合うって喜んで、
楽しく遊んで帰ってくれる。
改めて礼を言うよ。ありがとう」
「そんな・・たいしたことないです・・
でも、そう言ってもらえて私もうれしい」
初めはどうなるかと思った。
いつものカフェで突然、縁遠いはずのタイプの男に声をかけられ、
なかば強引に毎朝面と向かい・・
でも、非日常が日常になっていくと
私の心も潤いを取り戻し、
毎日を楽しいと思えるようになっていった。
こっちのほうがお礼を言いたいくらいだ。
そう思ったら、なんだか目頭が熱くなってきたが、
まさにいいタイミングというやつで
コーヒーとフレンチトーストが運ばれてきた。
店員さんは気を利かせてフォークは2本
持ってきてくれた。