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第16章 和樹、女性の可愛さについて考える

今日はブライダルの仕事だった。
今流行りの和装前撮りで、ロケ地は池に鯉が泳いでいる公園だ。

７月の休日。
雨の心配はないし、気温も今日はそこまで高くない。
まさに撮影日和だ。

「本日撮影を担当させていただきます、大野です」

良い仕事はまず、依頼人と距離を縮めることから。
笑顔で挨拶すると、新郎新婦は丁寧に、けれどぎこちなく頭をさげてきた。

生まれて初めてのロケに緊張しているらしい。
まあ最初はほとんどこんなもんだ。
たまにテンションおかしくて、しょっぱなから愉快な人もいるけど。

袴を着た新郎にはかっこよく番傘を持ってもらい、新婦にさしかけてもらう。
二人とも恥ずかしそうにお互いの顔を見てはにかんだ。

そうそう、二人でこそこそ会話しているうちに緊張も解れていくんだよな。
俺もつられて笑いながらカメラのレンズを向けた。