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第5章 花梨、彼氏と別れる

元カレは女々しい声をあげて、渋々引き返していった。
どうせあの女のところにでも行くんだろう。

泣いたらダメ。
マスカラもアイラインもウォータープルーフだけど、擦ったらパンダになっちゃう。

ゲーセン前で立ち尽くしていると、軽く肩を叩かれた。
さっきぶつかった男が、こっちに缶を突き出していた。
自販機で買ったらしく、自分はもう缶コーヒーに口をつけている。

温かくて甘ったるいココアの缶を受け取って、あたしの目から堪えていた涙が落ちた。

なんでこいつ、あたしの好きな飲み物知ってるわけ？