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第10章 急接近

「少し歩かないか」


常務が車のエンジンを切って外へ出た。

私もあとに続く

雨上がりの涼しい風が吹いていた


「暗いから気を付けて」


常務が手を差し出す


一瞬躊躇したが
そっとその手を握った。


心臓がドキドキと鼓動を早める


こんな風に手を繋ぐのはいつぶりだろう。

恥ずかしくてきっと顔が真っ赤だ。
夜でよかったと思った。


常務がキュッと手に力をいれた。


心臓が跳び跳ねる。

手を繋ぐだけでこんなにドキドキしてしまうなんてどうかしてる。


恥ずかしくて横に並べず
少し後ろを歩く



ドキドキしながら歩いていると急に視界が開けた


「うわーっっ　綺麗」


雨に洗われて夜景がキラキラと光っている

思わず走り出してしまった


「おっ　ちょっ　まって」


常務が慌ててついてきてくれた。


ーー手を離していいのに


と思いながらもなぜか心はとても温かく
手を離さずにいてくれる常務がとても嬉しかった。