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顧みすれば~真の愛~
第10章 急接近
「そろそろ 帰ろうか」


常務が はい と手を伸ばしてくる。

私はくすぐったい感覚で


「はい」

常務の手をとって歩き出した。



車に戻ってエンジンをかける。

「ねえ、なんか食って帰らない?
 腹減っちゃった」


急に子供みたいだ


「いいですよ」

「嫌いなものある?」

「特にないです」

「りょーかい♪」


常務は楽しそうに車を走らせた。

丘を降りて元町に向かった。

運河沿いに車を止める。



「少し歩くよ」


車を降りると常務が手を差し出してきた


「ここは暗くないですよ」


「だーめ。転んだら危ないでしょ。

 はい」


おかしな人だ。

明るい街灯に照らされながら手を繋いで歩いた。



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