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第2章 会社員　佐々木亜美

「ところでさぁ」

車内の空気を一変させるように
課長が微妙な顔つきで話しかけてくる

「お前スゲー酒臭いぞ」

「え?!え?!　そんなに臭いですか？
　きのう、ちょっと飲みすぎちゃったんですよ」

「ったく。
　酒強いの知ってるし、
　酒に逃げたくなるお前の気持ちも
　わからなくはないが
　取引先の部長誘っといて
　酒臭いのはまずいだろう。
　程々にしとけよ」

「すみません」

さすがに言葉が見つからない。
まさか、きのう課長の目の前で最重要客と飲み比べていたのは私ですとは言えないもんなぁ…。

「気を付けます」

小さな声でつぶやいた。

そうこうしているうちに山田製鉄に到着した。

「俺いってくるからお前はここで待ってろ。
　
　運転手さん悪いけど
　窓開けて空気入れ替えといて」

運転手さんは気兼ねしていたのか、待ってましたとばかりに窓を全開にした

私は恥ずかしくて顔があげられなかった。