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片想いの行方 2
第16章 交代
「………蓮」

「分かってる」


照明に照らされて、黒髪と茶髪がキラキラと光る。

すれ違う途中で並んだ2人は、お互いに前を見たまま顔を合わせない。


「ヒメ、俺だってそうだ。
お前が願うような世界であればいいと思ってる」

「……単なる戯言を真に受けるんじゃねーよ。
永遠に叶わないんだ」

「あぁ、そうだな。
………それでも
想いを遂げる方法は、きっとひとつじゃない」


蓮が静かにそう呟いた後、ヒメは無言のまま再び足を進める。

………傍から聞いただけでは把握できない、不可解な会話でも

なぜか2人の間に、絆のような糸が見える気がした。


「美和」


野外ステージを後にしようとした、その後ろ姿に向かって蓮が呼びかける。

振り向いた美和さんに、蓮は優しい声で続けた。


「俺との約束、忘れるなよ」

「…………!」

「その泣き虫、美和に嫌われたら生きていけないから。
………許してやって」


蓮の言葉に、ヒメは舌打ちをして美和さんの手を引っ張ると

笑顔でコクンと頷いた彼女と一緒に、暗闇へと消えていった。

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