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片想いの行方 2
第17章 幸せの花びら

………………………………………………


「おぉ、めっちゃキレイ」


定食屋を出て駅まで向かう途中

ビルの狭間の小さな公園に、桜の木があって

その花びらが、夜風に乗って歩道まで舞い散っていた。


「ヒカル、終電乗り遅れるぞ」

「少しだけ!」


蓮の静止を聞かず、あたしは公園の中へと入っていく。

両腕を回しても届かないくらい、太い幹。

街灯の光に照らされて、ピンクと緑がキラキラと光る。

4月中旬になった今、半分はもう新緑の葉に変わっていた。


「今年は遅咲きだったから、まだ花びらが残ってるんだね」

「…………」

「満開で咲き誇るのは、ほんの一瞬か……」


そっと幹に手を添えて、下からその揺らめきを見上げる。

風に揺れて重なり合う桜を見ていると

同じ呼吸をしているようで、心が穏やかになってきた。


「……………」


………うん、なんかスッキリしたな。

後ろから近付いてくる蓮の気配を感じながら、素直にそう思う。

バレていた上に、まさか定食屋で過去の話まで聞くとは思ってもみなかったけど

自分の想いを相手に知ってもらえただけで、幸せだよ。


………蓮が、その機会を与えてくれて

本当に良かった。
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