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暁闇
第11章 始める決意
「……ごめん」
俺は氏井さんに向かって言った。
もう、お茶なんてできる気分じゃない。
このまま一緒にいても、不快な思いをさせるだけのような気がしたから。
「悪いけど、やっぱり俺――――」
帰る、そう言い掛けたときだった。
「あれ? 翔悟さん?」
……え?
背後から声を掛けられて。
振り向いた先に、丈が立っているのを見た。
「丈――――」
「偶然! どしたの?」
そう言って近づいてきて。
俺の前にいる、氏井さんに気づく。
……その顔に浮かんでいた笑顔が、少し崩れた。
「……何? もしかしてデート?」
「え?」
抑揚のない声。
それでも氏井さんに愛想良く、こんにちはー、と礼をして。
それから、こっち来てよ、と俺の腕を引っ張る。
「氏井さん、ちょっとごめん……!」
そう言いながら、丈に腕を引かれるままに彼女から少し離れて。