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暁闇
第15章 私
……せめて、ちゃんと伝えなきゃ。
好きだって。
こんな私でも、せめてそれぐらい。
だって、相手の気持ちが分からない状態で想いを口にするって、すごく勇気がいることで。
それに比べたら。
好きと言ってくれる相手に、好きって答える。
それは容易なことのはずだから。
だからせめて、想いだけは。
彼が好きだという、それだけは。
……そう思いながらも、でも、とまた揺れる心。
告白を受け入れる決意もせず、ただ好きとだけ答えることに何の意味があるの?
好きと言われたら期待させてしまうんじゃないの?
期待させても結局断る可能性だってある以上、だったら最初から何も伝えない方がいいんじゃないの?
……でも。
でも、ずっと。
ずっと翔悟くんはつらい想いを抱えてきた。
それでも前を向いて、また新しい恋を始めようとしてる。
そしてその相手に、私を選んでくれようとしてる。
そんな、彼を。
これ以上悩ませたりしたくない。
私の気持ちがどこにあるかわからない状態のままで、ただ待たせるなんてそんなこと、したくない。
……いっそ何も言わず、もう断ればいい?
……でも、断れるの?
告白されて、嬉しいと思った自分が確かにいるのに?
繰り返す自問自答。
頭の中が、これまでにないぐらい、激しく揺れ動いていた――――。