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暁闇
第21章 重なる
開けられたドア――――。
咄嗟に俯いた私は、視界に入った翔悟くんの足下をただ、見つめる。
心臓の鼓動が激しくて。
苦しくて。
期待と、不安。
嬉しさと、こわさ。
相反するような思いが渦巻く。
……そっと、私の腕に伸ばされた彼の手。
少しだけ顔を上げ。
どきどきとうるさい胸の動悸を落ち着かせようと、大きく息を吐く。
直後。
腕を引かれた私の身体は翔悟くんに抱き締められた。
最初こそ驚いたものの、覚えのある彼の腕の中に、少しずつ身体の力が抜けていく。
どきどきするのに、なんだか落ち着くような。
不思議な、感覚。
少し緩められた腕。
私の顔を覗き込むようにする翔悟くん。
両手が、私の頬を包み込む。
……ひんやりして、気持ちよくて。
「可愛い」
でも。
呟かれたその言葉に、何だか急に恥ずかしくなった。
俯きたいのに、彼の手はそれを許してくれなくて。
でも、目を合わせるのももうなんだかこわくて。
それなのに。
「こっち、見て」
そんなことを言うから。
翔悟くんがそう言うから。
躊躇いながら、そっと視線を合わせた。
「ん」
その瞬間、口づけられて。
翔悟くんの柔らかな唇。
触れては、離されて。
何度も、何度もそうされて。