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暁闇
第22章 躊躇いの理由
俺は、今まで何度も言葉にして伝えてきた。
絶対離さない、と。
ずっと一緒だから、と。
そのたび、嬉しそうに彼女は頷いてた。
でも、本当は信じてもらえていなかったということなのだろうか――――。
……いや。
「違う」
俺は、首を振る。
信じていても、揺れてしまうんだ。
それは彼女のせいじゃない。
それは幸せに慣れていない心のせい。
その幸せが本当にいつかなくなってしまったときに耐えられるように。
そんな、一種の心の防衛に過ぎない。
裏を返せば、彼女は今とても幸せだということ――――。
……それでも、その感情をどうにかできたらな、とは思った。
俺との関係が終わることへの恐れ。
なら、その俺ができることは。
……そんなことを、ずっと考えていたりしていた。