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暁闇
第22章 躊躇いの理由
そう、思いながら。
でも、幸せに慣れていない彼女のその思考もなんとなく、理解できて。
心のどこかに常にあったその想いは、同棲の話でより大きくなってしまったのだろう。
だったらなおのこと、してよかった。
こうして、それまではなんとなくだった彼女の不安を確信し、吐き出させることができたのだから。
吐き出されないことには、否定も……何もできないから。
幸せに対していつも少し臆病な彼女。
幸せは当然のものだなんて思ってないから。
だからこそ、いつもすべてに対して優しいんだ。
腕の中で声をあげて泣く彼女のその弱さ。
俺しか知らないその姿。
だから俺にしか、守れない。
俺にしか、救えない。
「言ってよあおいさん……」
腕の中で泣き続ける彼女がたまらなく愛おしい。
「ひとりで泣くなんて、そんなのもう許さないから――――」
――直後。
その泣き声は一際、高くなった。