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暁闇
第25章 Epilogue
披露宴のあと、まだ話し足りなかった私たち。
葉月くんが、家に寄ってと加奈に声を掛けてくれて。
それで今、ここでこうしてリビングに3人でいるわけだけれど。
「……でも、あのブーケきれいだったよね……!」
思い出して口にした私に、頬杖をついてどこか呆けたような顔をしていた加奈が反応した。
「ああ……確かに。
あんな薔薇あったんだね。初めて見た~」
「ね!」
白に、ピンクの縁取りがされた大輪の薔薇。
清楚なのにすっごく華やかで。
「あおいさんに似合ってたよね~……」
うんうん、と頬杖をついたまま頷く加奈。
そして。少しの沈黙のあと。
「……よかったよね」
そう、呟いた。
今度は私がそれに頷く。
キャンドルサービスでテーブルを回ってきたとき、ふたりと目が合って。
記憶にあったあの優しい微笑みを私に向けてくれたあおいさん。
照れくさそうに苦笑いした村上くん。
それだけでまた、胸にこみ上げてきたたくさんの感情。