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暁闇
第27章 *おまけ*葉月と琴音*
……そうして。
葉月くんの腕に抱かれたまましばらくの時が経ち。
涙も、感情も落ち着いた私の様子に気づいたのか、彼が背中を優しく撫でる。
「……もう、大丈夫?」
降ってきた、大好きなひとのその声。
こくん、と頷いて答えると、両肩にその手がそっと置かれた。
私の顔を覗き込もうとしてか、そのまま身体を少し自分から離そうとする気配。
「……や」
なんだかこのまま離れたくない気分で。
首を振って、葉月くんの背中に回した両手にぎゅっと力を込める。
「琴音?」
「……やだ」
ずっと、こうしていたい。
葉月くんの優しい腕に……その香りに包まれていたい。
「……もう少しだけ」
ぽつりとそう零すと、葉月くんの両腕が再び私の背中へと戻った。
「何? 甘えたいの?」
くすくす、と。
葉月くんが笑うから。
「だって……」
そういう気分なんだもん、と。
少しだけ顔を上げ、葉月くんを見た。
葉月くんも、私を見下ろすようにして視線を合わせてきて。