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暁闇
第5章 終わらせる決意
「それからだんだん桜井くんのことが気になっていったんだと思う。
……彼にはすごく好きな人がいるって知ってて、でもいつのまにかそんな彼を好きになってた。
望みなんて少しもないの、よく分かってたのにね」
「……松下さん……」
「そんなときかな。和美が桜井くんのことが気になるって言ってきたの。だから告白するって。
結果はやっぱりだめだったんだけど。だめな理由は聞かせてもらえず『誰とも付き合う気ないから』とだけ言われたらしいの。
……私、和美には悪いけど、その……桜井くんの事情は私しか知らないんだ、って思って。
私が桜井くんに選ばれたわけでもなんでもないのに、変に気持ちが高揚したりとか。
……うまく言えないんだけど――――」
「……分かります」
そう言うと、松下さんはまた俺の方を見て微かに微笑んだ。
だって俺も、そういうの感じていたから。
桜井と親しい男友達って、俺だけだったから――――。