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暁闇
第5章 終わらせる決意
「でもね。和美と桜井くんが話してるときの琴音さんの様子。
何とも思ってないって態度じゃなかったから。もしかしたら琴音さんも桜井くんのことを? って……でもそんなこと、言えなくて」
「松下さん……」
「ずるいの、私」
俺はその言葉に首を振る。
「桜井くんがどんなに一途に彼女を想っているか知ってたのに。
つらい気持ち抱えてるの分かってたのに。
……村上さんみたいに、ふたりの背中を押すなんてできなかった――――」
そんなふうに自分を責めるように言うから。
俺はなんだかたまらなくなって。
「……確証がなかったら俺だって言えませんでした」
俺は、知っていたから。
桜井の先輩への気持ち。
「だから、松下さんが自分のことそんなふうに思う必要なんかないと思う」
「村上さん――――」
「それに俺が動いたのは、自分のためだから」