この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第5章 終わらせる決意
「自分のために動いたって村上さんは言ってるけど……桜井くんも琴音さんも、村上さんの気持ち、ちゃんと分かってるんだと思います」
俺は、黙ってそれを聞く。
「そばに、ずっと村上さんがいてくれたこと……琴音さんはきっと幸せでしたよね」
そして続けられた、松下さんのその言葉――――。
こみ上げてきた感情に引きずられそうになる感じを覚え。
俺は唇を噛んで、静かに息を吐く。
……なあ、桜井。
俺の想いは、桜井にとってそうだった?
ずっと抱いてきたこの想いは、おまえにとって必要なものだった?
胸に沸き上がる、彼女へのそんな問い。
俺の想いが、桜井にとって意味のあるものだったのなら。
その想いで桜井を少しでも支えることができたのなら。