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銀剣士の憂鬱
第18章 一緒に

「私はもともと湖の底に暮らす種族の魔物でした。
サラと最初に出会った森の奥深くにその湖はありました。
仲間達と普通に暮らしていましたが、あるとき私には生物的な欠陥があることが分かりました...
...残念ながら、私には生殖能力が欠けていました。
子孫を残すことのできない体だったのです。
私達の種族は人間とは違いますからね。
私は仲間達から離れて暮らすことを余儀なくされました。
仲間達から離れる時に姉様、私の本当の姉が教えてくれました。
どうせなら魔力を高めて、優秀な魔物になってやればいいと。100年生きれば月の力を借りて人の姿にだってなれるのだからと。
それから私は仲間から離れて過ごし、魔力を高めることに専念しました。
そして100年生き、あの魔性の満月の日に人間の姿に化けることに成功しました。
もともとあの姿は人間の男を油断させて、喰らうための姿だったんです。
魔力の高い人間を食べれば私の魔力はもっと高まるので。
...しかし、欠点がありました。
人間の姿に化けるために相当な魔力を使い果たしてしまって...
次の満月までは“ちょっと感覚が鋭いぐらいの単なる人間の女“になってしまったのです。
人間の女に化けることに成功した私は浮かれてしまって、人間の男達が近づいていたことに全く気づきませんでした。
人間の男達に見つかったときには逆に、か弱いあの姿が仇になってしまいました。
せっかく、高貴な魔物になるための第一歩を踏み出したというの呆気なく人間に殺される。
そう思った時に現れたのがあなたでした。」

