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仮面舞踏祭~カーニバルの夜に~
第2章 本当の別離
 こんなときに男が使いそうないかにもの台詞だ。今更、取り合う気にもなれなくて黙っていると、何を勘違いしたものか、彼は格好つけて前髪をかき上げる。
「おまえに逢いたくて、小百合にこの仮面舞踏祭のことを聞いて、取る物も取りあえず、飛行機に飛び乗ったんだぜ」
 全く、どこまで厚かましく恥知らずな男なのだろう。たとえいっときたりとはいえ、こんなろくでなしに夢中だった自分が呪わしい。
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