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その口でその指で
第1章 噂の真相
「平常心平常心」

呪文のように呟き、いつも通りになるように図書室の扉を開けた

「いらっしゃーい」

牧野先生を目の前にし、心臓がびくりと跳ねた

直視すべきか悩んだが本能が先生の姿を見たいと目に命令していた

変わらない笑で挨拶されてほっと胸をなで下ろし、緊張が少し解れた

いつも通り・・そう思った

しかし漂う雰囲気・・オーラとよぶものだろうか?

明らかに昨日とは違う柔らかな甘さを含む空気の様なものが牧野先生から発せられているように感じる

壮麗で堅実な牧野先生の雰囲気に女性らしい柔らかな空気が漂っている

心なしか肌艶も良さそうに、透明感のある肌に見える

若返った・・その表現が一番しっくりくる

「牧野先生・・なんだか・・より綺麗ですね」

「えーなぁに?どういう意味ー?」

照れとも怒りとも取れる先生の笑顔に複雑な心境になった

「いや、いつも以上に綺麗だなって・・」

「そう?褒め言葉として素直に喜んどくわー」

満足そうにほほえまれ、無理矢理彼女も笑い返した

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