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悪戯な思春期
第2章 重ねた王子様は微笑んで

「瑠衣になりたかった」
(……?)
「一般人の俺にとって、瑠衣の生き方は羨ましくて仕方ない」
 それもそうだ。
 日本人どころか世界に期待されるスターなのだから。
「でも……瑠衣になったら、私は会えなかったんだろうねぇ」
 何気なく呟いたが、その真実が綺麗に今の瑠衣と当てはまり、西に申し訳なく思った。
 断続的に車体が揺れる。
「会えない方が良かった?」
「そこで今返事できるほど西のこと知らないし」
「確かに……まぁ、そのまま瑠衣だと思えばいい」
(いいの? 五年間の片思い舐めないでよ。瑠衣への執着半端じゃないんだからね。後から後悔しないでよ)

 私はアンティークショップの紙袋を抱き締めて、西を睨みつけた。
 その睨みは長く続かなかった。
 突然、西が顎を持ち上げたからだ。
 昨夜のオンエアの通りに。
 あの女優の気持ちが今なら痛いくらいわかる。
 瑠衣の蒼い目ほどではないが、西は深紫を携えていた。
 呑まれてしまいそうな深さに前後感覚も消えてゆく。
「ナニ? 感じてるの?」
 美伊奈と同じ台詞に恥も忘れてわなわなと震えた。
(コイツ……聞いてたのかあの会話)
 勢い良く西の手を叩くと、怒鳴るように言った。
「か……っんじてない!」
 車内の空気が凍る。
 囁き声の西と違って、私は目立ちすぎた。
 突き刺さる視線に紙袋を盾に赤い顔を隠す。
 西は腹を抱えて笑っていた。
 彼も違う意味で視線を集めていた。
 やはり通常の男子より格段と格好良いのだ。
 周囲の女性が幸せな笑みを西に送る。
(この優越感は……慣れません!)
「やっぱりMだ」
「ねぇ、なんでいきなりそれ言ってきたの?」
 私は結構気になっていたことを尋ねた。
「なんでだと思う?」
「学校では、バレないように振る舞ってたつもりなんだけど」
 西は軽やかに笑った。
「振る舞ってたつもり? Sに?」
 さも可笑しそうに述べる彼に、私は意味もなく恥ずかしさを感じた。
「そう……だよ?」
「ちなみに天草ってさぁ」
 不意打ちだった。
 西が私の側にある腕を上げたかと思うと、それで頭を抱かれた。
 彼に寄り添う形だ。
 肩の力が抜ける。
 あまりのことに口をパクパクする私の耳元で西は囁く。
「こうされんのとか……」
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