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悪戯な思春期
第2章 重ねた王子様は微笑んで
「こうされんのとか……」
今度はもう片方の手で私の頬に触れ、上体を傾けた。
視界が西で一杯になる。
遠くで女子高生が騒ぐ声がする。
チュっ。
可愛い音がした。
私は呆然として、たった今唇を奪った男を見る。
女子高生達の黄色い歓声は私たちを見てのものだったようだ。
西は瑠衣スマイルでスッと離れた。
「こういうのが好きだろ」
私は震える手で唇をなぞった。
今の行為を整理するように。
しかし、脳内は煮えたぎり、私から理性を取り上げてしまった。
(キス……キスされた)
(椎名の名においてぶっ飛ばそ)
(ばか。嬉しいくせに)
(黙れ自分)
西は離れたものの相変わらず私の頭を抱いていたので、身動きがとれない。
訴えるように睨めば、夕日を浴びた悪魔みたいな笑みがそこにあった。
「ほら? 無理やりされたくせに嬉しそう」
(私は……とんでもないことをしてしまったかもしれない。瑠衣くらい、いや、もしかしたら瑠衣以上の男に捕まってしまったのかもしれない……西……あんた何者?)