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悪戯な思春期
第2章 重ねた王子様は微笑んで
「み……」
 私は声を出すことも叶わなかった。
 ただ小さく聞こえる服の擦れる音、何かを這い回す音に震えていた。
「……ぁっ、ダメ……ひゃあうっ……やめっ」
「いつもより早いじゃん」
 携帯をどこかに置いたのだろうか。
 ゴトリと言う音の後に、大きなものが倒れる衝撃が伝わってきた。
「き……みっ、ひろ……携帯ぃ」
「切らねーよ」
 水音がクチュクチュ響く。
 私は耳を塞ぐのも思いつかず、目を見開いたまま止まっている。
「あぁっ……やぁ……助け、っんん……あん……こんなこと、して……いいとで……も」
「腰揺らして誘っといて……なにを今更」
「いぃっ…しぃ…なぁっ……切っ、て……切ってえええっっ」
 私はその叫びが鼓膜に響いている間に携帯を放り投げた。
 指はまだ動かなかったのだ。
(親友の情事を聞いてしまった)
 言葉にすると乾いた一文だが、私は呆然と投げた携帯からまだノイズが聞こえるのを見ていた。
『こども出来てからじゃ手遅れだよ』
 美伊奈の声が蘇る。
 確かにそうだ。
 その可能性のリアリティを体感した私は、西を思い出して身震いした。

 知識が無いわけではない。
 思春期ともなれば、その手の漫画や小説に踏み入るものだ。
 瑠衣を愛してきた彼氏のいない十七年間、そうした実体験は皆無ではあるものの、夢や想像は広がっていた。
 瑠衣に襲われる夢だって見た。
 しかし、肝心のその時を思いだそうとしても緩い体の疼きしか浮かばない。
『椎名が欲しくて』
 西は断言した。
 あの時の西は本気の目をしていた。
 獲物を捉えた肉食獣の目。
 ゆっくりと私は自分を抱き締める。
 美伊奈の喘ぎ声が脳内から静かに消えてゆく。

 日曜日のうららかな昼。
 私はよろけながらキッチンへと向かった。
 傍らの携帯からは断続的に音が響いていた。
「西が作ったパスタ、傷む前に食べなきゃ……」
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