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悪戯な思春期
第2章 重ねた王子様は微笑んで

 椎名は、のっそりと頭を起こした。
(美伊奈ぁ……ごめんなさい)
 食べ終えたグラタンパスタの白い皿を眺める。
 美味しかったが、罪悪感というスパイスが強すぎた。
 投げ捨てた携帯の電源を切るのは苦労した。
 震える指をなんとか押さえつけ、美伊奈の声が漏れてくる携帯をテーブルに置いたのが半時間前。
 もう終わっただろうか。
 未経験の為尺がわからず、一刻も早く謝りたい私はじりじりと無駄に時間を過ごした。
(なんて言う?)
(喘ぎ声エロかった、ぜ?)
(死ね)
(自分に対して死ね、かよー)
(素直にさ、ごめんなさいで)
(だよなぁ……)
(あえて無視とか)
(逆の立場だったらどうよ?)
(触れて欲しくないかも……だって最もプライベートなことじゃない?)
 悶々と内なる自分が会議する。
「ケーキ買ってくる」
 そんな自分たちに話しかけるように、私は誰もいない部屋で言った。
(モンブランにしなよ)
(はいはい)

 近所で有名な小さなケーキ店にやってきた。
 ラトルという名前で、森の中から切り抜いてきたような可愛い外観だった。
 ガラス戸を押し、甘い香りの中に包まれる。
 バニラ。
 チョコレート。
 カシス。
 空気に波を作るのも罪な気がして、入り口で見回していると、カウンターの中に見覚えある影があるのに気づいた。
(あ……え? まさか)
 蒼のチェックのバンダナを巻き、黒いエプロンをつけた長身。
 店長らしき男性が指示すると、爽やかな返事をして素早く店内を行き来する。
 客の注文に応じて、ガラスケースから慎重にケーキを取り出してゆく。
 綺麗に梱包を終えると、星模様の袋を女性に渡す。
「お待たせ致しました。ご注文の三品でございます」
 瑠衣スマイル。
「……天草?」
 私はそばを幸せそうに過ぎていく女性を一瞥し、軽く手を振った。

 ラトルの脇に添えられたテラスで座っていると、私服に着替えた西がやってきた。
「……お疲れ様」
 予想がけない出会いに未だ驚きながら、私は笑った。
「丁度交代でね」
 店を振り返って、西は親指で示す。
「親戚が経営してて、週末だけ入ってるんだ。似合わない、だろ」
 まだ甘い香りを漂わせながら、西は照れ笑いをした。
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