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悪戯な思春期
第3章 王子様の刺客は忍者

「お前らなにしてんだよ!」
 言ってから気づいた。
 相手は有名な不良グループだ。
「誰だてめぇ」
 案の定リーダー格の男が殺気を放ちながら近づいてくる。
 とりまきの男達は様子を窺って周りを取り囲む。
 逃げられない状況だ。
(流石に五人に勝てる気はしないな)
 だが、相手はその気満々だ。
 向かい合ったかと思うと、いきなり首元に拳を突き出した。
 一歩下がって避けるが、続けてきた腹への攻撃は避けられなかった。
「が……っは」
 血の味がする。
(舐めやがって……)
 本気ではないそのパンチが気にくわない。
 俺はストッパーを外した。
「仕掛けたのはそっちだからな」

 大きく深呼吸をする。
「西……お前すげぇな」
 瓜宮はよろけながらも、ゆっくり立ち上がって言った。
 二人の周りに横たわる男たち。
「喧嘩慣れしてんだ?」
「お前こそ忍者の技とか使わねーの」
 感心する瓜宮に俺は水を差す。
 予想以上に瓜宮はテンションが下がり、蹴られた場所を抱えて震えた。
「……脅されたんだ」
 苦々しく言葉を絞る彼は、なんだか哀れに思われた。
「毎日昼休みいないのはまさか」
「うん。この人たちに呼ばれて」
「そんなの無視すれば」
「だから……脅されたんだよ」
 瓜宮は前髪をかきあげた。
 その所作が女みたいに綺麗で、一瞬目を見張ってしまう。
「リーダー格の蛇越……が、僕の着替えを盗撮してさ」
(は……?なんて?)
「言うこと聞かなかったら……知り合いのホモ連中にバラまくとかいわれて」
「信じんなよ」
「だよね」
 瓜宮は苦笑いをした。
 まだ痛むのだろう。
 どこから取り出したのか、湿布を張り付けている。
 やっと穏やかな表情になった瓜宮を見て、要件を思い出した。
「椎名」
「なら隣の教室」
 言葉の最中に答えられ、俺は硬直してしまった。
「なんで知ってた?」
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