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【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
 


 大好きなHaruグッズをハル兄にゴミとして燃やされ、

 4万超分の300という、奇跡的な確率で当ったHaruとの握手会の当選メール(それが会場への通行手形)をナツに消され、


 あたし……葉山静流はプンスカしてます。



 どんなにご機嫌取ろうとしても、どんなに母性本能擽られる甘えたがりになられても、絶対許すもんか――と、怒り任せにふたりを追い出したのだけれど、予想に反してふたりからの接触はなにもなかった。


 見事に、なにもない。


 怒っているあたしが、スマホを手放せないってなに?

 部屋ではなく玄関の前をうろついているってなに?


 別にあのふたりがどうなろうとあたし関係ないし!!

 Haruの無念さ思えば、まだまだやり足りないくらいだし!!


「だけど……機嫌取りに電話やメールくらい、してくれても……」


 傲岸な帝王の傍には、しくしく王子がいる。

 ハル兄が無理でも、あの繊細なナツならば、「しーちゃん、ごめんなさい、仲直りしてください」としくしくして、あたしと和解しようと必死になりそうな……そんな気がしていたんだけれど。


「あ、あたしから様子伺いなんてしたくないし!!」


 来ない。

 1時間経っても、2時間経っても。

 外が真っ暗になろうとも、ライブ当日の朝になろうとも……。


 気になって気になって眠れやしない……と思いきや、しっかり熟睡していたあたし。


「――おや?」


 玄関で毛布と布団にくるまっていたはずなのに、目覚めたら部屋の中。

 あたし……夢遊病のように寝惚けて部屋に戻ったんだろうか。



 そんな中、上体を起こすとかさりと紙の音。



「なんだこれ……」



 長い和紙がくるくると巻かれた巻物。

 中に書かれていたのは……。
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