この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第9章 【2000拍手突破感謝】Ⅳ.憂鬱の向こう側
大好きなHaruグッズをハル兄にゴミとして燃やされ、
4万超分の300という、奇跡的な確率で当ったHaruとの握手会の当選メール(それが会場への通行手形)をナツに消され、
あたし……葉山静流はプンスカしてます。
どんなにご機嫌取ろうとしても、どんなに母性本能擽られる甘えたがりになられても、絶対許すもんか――と、怒り任せにふたりを追い出したのだけれど、予想に反してふたりからの接触はなにもなかった。
見事に、なにもない。
怒っているあたしが、スマホを手放せないってなに?
部屋ではなく玄関の前をうろついているってなに?
別にあのふたりがどうなろうとあたし関係ないし!!
Haruの無念さ思えば、まだまだやり足りないくらいだし!!
「だけど……機嫌取りに電話やメールくらい、してくれても……」
傲岸な帝王の傍には、しくしく王子がいる。
ハル兄が無理でも、あの繊細なナツならば、「しーちゃん、ごめんなさい、仲直りしてください」としくしくして、あたしと和解しようと必死になりそうな……そんな気がしていたんだけれど。
「あ、あたしから様子伺いなんてしたくないし!!」
来ない。
1時間経っても、2時間経っても。
外が真っ暗になろうとも、ライブ当日の朝になろうとも……。
気になって気になって眠れやしない……と思いきや、しっかり熟睡していたあたし。
「――おや?」
玄関で毛布と布団にくるまっていたはずなのに、目覚めたら部屋の中。
あたし……夢遊病のように寝惚けて部屋に戻ったんだろうか。
そんな中、上体を起こすとかさりと紙の音。
「なんだこれ……」
長い和紙がくるくると巻かれた巻物。
中に書かれていたのは……。